池原 譲(産総研)

「超1000nm近赤外波長域を利用した医療イメージングの開拓」

我々は、低温プラズマの発生技術を利用し、術後瘢痕の形成を軽減できる止血デバイスの開発を行うとともに、効果を最大にする医療イメージング技術の開発を進めてきた。例えば膵組織は、高周波凝固や超音波止血を使用することによる熱のダメージを避けたい臓器の代表であるが、膵組織と脂肪組織との境界を認識して、熱による障害を可能な限り回避したリンパ節廓清を実施するには、この目的に資する新たなイメージング技術が必要となるからである。
演者は、ハイブリッド型InGaAs半導体CMOSセンサーを開発し、波長域1000-1600nmにおける医療イメージング技術を開拓してきた。同技術を使用すると、脂肪組織内のリンパ節や、膵組織と脂肪組織との境界は、造影剤や蛍光物質を使用すること無しに、視認可能となる。シンポジウムでは技術開発の経緯を紹介するとともに、超1000nm近赤外波長域を利用するナビゲーションについて議論したい。

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